尿沈渣

尿検査には「尿一般」と「尿沈渣」の2種類の検査が存在します。

「尿沈渣(にょうちんさ)」と呼ばれる検査は、尿に含まれる成分を詳しく分析して、具体的な数を数えるものです。「あなたの尿には赤血球が10個ありました」というような表現になります。この尿沈渣は泌尿器科と腎臓内科以外ではあまり行われていません。ただ、尿の中の成分を調べる検査であり、泌尿器科医にとっては患者さんに聴診器をあてるようなイメージです。

人間ドックなどになると、この尿沈渣まで行われることが多いようです。一方で尿沈渣ではタンパクや糖の存在はわからず、尿一般だけでは血液や雑菌が尿中に存在しているかどうかわかりません。それぞれ役割がちがうのです。その他にも尿で検査する項目は沢山ありますが、一般的に尿検査と言った場合には「尿一般」と「尿沈渣」、この二つの検査のどちらか一方または両方を指すことが多いと思います。

当院ではSYSMEXの全自動尿中有形成分分析装置(フローサイトメーター) UF-5000を用いて尿沈渣検査を自動化しています。自動化することによって、人の目で見るのとは違い誤差が少なくなります。自動化していない場合には顕微鏡を用いて人の目で見ることになりますが、どうしても誤差が生じます。それは、尿を見る人間の能力や経験の差も勿論ですが、顕微鏡に乗せるためのプレパラートを作成する際にも技術を要するからです。

また、人の目では確認が困難な尿中の雑菌数も数を数えることができます。機械を使うと検査代が高くなりそうなものですが、なぜか機械を使った尿検査の方が国が決める検査代が安く設定されていますので、患者さんにとっては金銭的なメリットもあります。シスメックス社のフローサイトメーターを導入しているクリニックは都内でも少なく、動坂下泌尿器科クリニックの他では港区のきつかわクリニックさん、あきるの市のなかのやUクリニックさんぐらいです。内科系のクリニックさんではおそらく皆無だと思います。

せっかく同じ尿検査をするのであれば、検査誤差の少ないフローサイトメーターをお勧めいたします。