前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)は、男性に特有の前立腺という臓器が年齢とともに大きくなることで起こる病気です。前立腺は膀胱の下にあり、尿道(尿の通り道)を囲むように位置しています。加齢によってこの前立腺が肥大すると、尿道を圧迫して、排尿に関するさまざまな不調があらわれます。
この病気は50歳以降の男性に多く、70歳以上では約7~8割の方に何らかの症状があると言われています。良性の病気ですが、放置すると生活に支障をきたすことがあります。
【主な症状】(排尿に関するトラブル)
前立腺肥大症では、以下のような排尿症状が出やすくなります。
・排尿困難(尿が出にくい症状)
・尿の出始めに時間がかかる
・尿の勢いが弱い、途中で途切れる
・排尿にいきむ必要がある
・残尿感(出し切れていない感じ)
・頻尿(特に日中や夜間に何度もトイレに行く)
・夜間頻尿(夜中に何度も目が覚める)
・尿意切迫感(突然トイレに行きたくなり我慢できない)
・尿漏れ(我慢できずに漏れてしまう)
前立腺肥大症かどうかを判断するために、当院では以下のような検査を行っています。どれも身体への負担が少ない検査ですので、安心して受けていただけます。
1. 問診と症状の確認
現在の排尿の状態や困っている症状について詳しくうかがいます。
「尿の回数」「勢い」「残尿感」「夜間の排尿」などをもとに、重症度の評価も行います。
※ 必要に応じて、排尿日誌をつけていただくこともあります(数日間の尿の回数・量を記録)。
2. 尿検査
尿に感染や血尿がないかを確認します。膀胱炎や尿路の他の病気が隠れていないかをチェックします。
3. 超音波検査(エコー)
お腹に超音波をあてて、前立腺の大きさや膀胱内の残尿量を調べます。
痛みもなく、外から当てるだけの検査です。
4. 尿流測定検査(ウロフロメトリー)
トイレのような検査機器に普段どおり排尿してもらうだけで、尿の勢いや時間、量を自動で測定します。
排尿にかかる圧力の異常などがわかります。
5. PSA検査(血液検査)
前立腺がんとの区別のために、血液中の「PSA(前立腺特異抗原)」という数値を調べることがあります。
特に50歳以上の方では、この検査を行うことが推奨されています。
必要に応じて、直腸診、内視鏡検査(膀胱鏡)などを追加で行うこともありますが、まずは基本的な検査で前立腺の状態を把握します。
前立腺肥大症の治療は、症状の程度や生活への影響に応じて選択されます。軽い場合は経過観察のみで済むこともありますが、症状が強い場合には薬や手術が必要になることもあります。
1. 薬物療法(内服治療)
α1遮断薬(排尿をスムーズにする薬)
前立腺や尿道の筋肉をゆるめて、尿の通りを良くします。効果は比較的早く出ます。
5α還元酵素阻害薬(前立腺を小さくする薬)
前立腺を徐々に縮小させる働きがあります。効果が出るまで数か月かかりますが、長期的に有効です。
その他
頻尿や尿意切迫感が強い場合は、膀胱の働きを調整する薬も使われます。
2. 手術療法(外科的治療)
薬で十分な効果が出ない場合や、尿が出なくなった場合などは、手術を検討します。
経尿道的前立腺切除術(TURP)
尿道から内視鏡を挿入し、前立腺の一部を切除する手術です。最も一般的で、体への負担も比較的少ない方法です。また、最近はレーザー治療、水蒸気治療、ウロリフトなど様々な新しい手術法が行われるようになりましhた。
まとめ
前立腺肥大症は、早めの診断と治療で改善が期待できる病気です。
「年のせい」とあきらめず、排尿に不安を感じたらお気軽にご相談ください。
